○猪苗代町職員等の内部通報等に関する要綱

令和四年五月二十四日

訓令第十号

(目的)

第一条 この訓令は、公益通報者保護法(平成十六年法律第百二十二号。以下「法」という。)の規定に基づき、猪苗代町職員等の法令違反行為に関する内部通報等に対応する仕組みを整備し運用することにより、町の法令遵守を図り、もって町民の信頼を確保することを目的とする。

(定義)

第二条 この訓令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 町職員等 地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第三条第二項に規定する一般職に属する町の職員及び同条第三項に規定する特別職にある者並びにこれらの職にあった者で退職した者

 委託先事業者の役職員等 町の事務又は事業を町以外の者に委託し又は請け負わせている事業者、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十四条の二第三項により公の施設の管理を同項に規定する指定管理者に行わせている事業者の役員及びその従業員並びにこれらの職にあった者で退職した者

 法令違反行為 次に掲げる行為をいう。

 町及び町職員等の職務の執行について、法令等(法律、法律による命令及び条例(町が定める各種規則その他の規程を含む。)をいう。以下同じ。)に違反する行為

 委託先事業者及び委託先事業者の役職員等の職務の執行について、法令等に違反する行為

 内部通報 法令違反行為が生じ、又はまさに生じようとしていることを通報すること。

 相談 内部通報に先立ち又は関連して必要な助言を受けること。

 利用対象者 町職員等及び委託先事業者の役職員等

 通報窓口 町組織内に設置した内部通報及び相談(以下「通報等」という。)をするための窓口

 対象事案 通報窓口に対して通報等された事案

 通報窓口担当者 通報窓口において通報等を受け付ける者

 調査担当者 対象事案の調査を実施する者

十一 通報等をした者を特定させる事項 通報等をした者又は調査協力者が誰であるか認識することができる事項

十二 従事者 通報窓口において受け付ける通報等に関して通報対応業務を行う者であり、かつ、通報等をした者を特定させる事項を伝達される者

十三 調査協力者 対象事案に関する調査に協力する者

十四 被通報者 法令違反行為を行った、行っている又は行おうとしているとして通報された者

十五 範囲外共有 通報等をした者を特定させる事項について、必要最小限度の範囲を超えて共有する行為

十六 処分等 法令等に定める懲戒処分、口頭での指導又は注意を含め、町が行うことができる一切の措置

(内部通報の体制整備)

第三条 町は、町職員等及び委託先事業者の役職員等からの通報等に対応する仕組みを整備及び運用し、通報対応業務を統括する通報対応責任者を置くこととし、副町長をもってこれにあてる。

2 通報対応責任者は、通報対応業務に関する事務を総務課に行わせることができる。ただし、総務課に事務を行わせることが適当でない場合には、他の部署に事務を行わせることができる。

(通報窓口の設置及び従事者の指定)

第四条 町は、町において通報等を受け付けるため通報窓口を総務課に設置し、通報窓口担当者を定め、通報等の受付を担当させ、通報対応責任者がこれを統括する。

2 前項に定める通報窓口担当者であって通報等をした者を特定させる事項を伝達される者は、従事者として指定されるものとする。

3 第七条第三項に定める調査担当者であって通報等をした者を特定させる事項を伝達される者は、従事者として指定されるものとする。

4 第八条第四項に定める対象事案の是正措置等を検討又は実行する者であって通報等をした者を特定させる事項を伝達される者は従事者として指定されるものとする。

5 通報対応責任者は、前三項の規定により指定される従事者に対し、従事者の地位に就くことが当該者自身に明らかとなる方法により伝達するものとする。

(通報窓口の利用方法)

第五条 利用対象者は、通報窓口に対し、次に掲げる事項を、電話、電子メール、FAX、郵送又は面談の方法により知らせることで、通報等をすることができる。

 法令違反行為に関する事実の内容

 法令違反行為が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する理由

2 利用対象者は、匿名で通報窓口を利用することができる。

(情報を共有する者の範囲)

第六条 通報等をした者を特定させる事項は、通報対応責任者、通報窓口担当者の範囲に限り共有するものとし、正当な理由がない限り、当該範囲を超えて共有してはならない。

2 通報等をした者を特定させる事項以外の情報についても、共有範囲については慎重に検討することとし、原則として通報窓口担当者、調査担当者及び対象事案の是正措置等を検討又は実行する者に限り共有し、不当な目的に利用してはならない。ただし、当該通報等をした者があらかじめ明示的に同意した場合又はその他正当な理由があると客観的に判断される場合は、この限りでない。

3 対象事案に関する調査により得られた情報のうち調査協力者を特定させる事項は、調査担当者に限り共有する。ただし、当該調査協力者があらかじめ明示的に同意した場合又はその他正当な理由がある場合は、この限りでない。

4 調査協力者から得られた調査協力者を特定させる事項以外の情報は、調査担当者に限り共有する。ただし、調査協力者があらかじめ明示的に同意した場合又はその他正当な理由がある場合は、この限りでない。

5 町は、前四項に違反した者に対して適切な処分等を行うものとする。

(調査)

第七条 通報対応責任者は、通報等の調査を統括し、通報等により調査中の対象事案と同種案件であるもの、既に対象事案に関する調査又は是正措置等がとられ解決済みであるもの、内部通報をした者と連絡が取れず事実確認が取れないもの等、正当な理由がある場合を除いて、直ちに必要な調査を実施しなければならない。

2 通報対応責任者は、町長その他町管理職員が関与する法令違反行為に係る通報等があった場合、調査に関する独立性を確保するため、外部弁護士又は第三者委員会の監視を受けながら調査するものとする。

3 通報対応責任者は、対象事案について、当該通報窓口担当者又は発生部署で法令等遵守について担当する者を調査担当者として定め、調査を担当させるものとする。

(是正措置等)

第八条 調査担当者は、調査の結果、法令違反行為が明らかとなった場合、その旨を通報対応責任者に報告しなければならない。

2 通報対応責任者は、対象事案の是正措置等の検討及び実行を統括し、前項による報告を受けたときは、速やかに是正措置等の検討及び実行をするものとする。

3 通報対応責任者は、当該通報窓口担当者又は発生部署の法令等遵守について担当する者を対象事案の是正措置等を検討又は実行する者として定め、是正措置等の検討又は実行を担当させることができる。

4 通報対応責任者は、町長その他町管理職員が関与する法令違反行為が明らかになった場合、是正措置等の検討及び実行に関する独立性を確保するため、外部弁護士又は第三者委員会の監視を受けながら是正措置等を検討及び実行するものとする。

5 通報対応責任者は、法令違反行為の是正措置等が適切に機能しているかを検証し、適切に機能していないことが判明した場合、追加の是正措置等を講じなければならない。

(処分等)

第九条 町は、第七条による調査の結果、法令違反行為が明らかになった場合には、当該法令違反行為に関与した者に対して適切な処分等を行うものとする。

(記録)

第十条 通報対応責任者は、通報窓口に寄せられた内部通報への対応に関する記録を作成し、対応終了後十年間、保管しなければならない。

(協力義務)

第十一条 町職員等及び委託先事業者の役職員等は、通報対応責任者が行う調査に協力しなければならない。

2 町職員等及び委託先事業者の役職員等は、調査を受ける場合には、これに誠実に応じなければならず、虚偽を述べてはならない。

3 町は、前二項に違反した町職員等及び委託先事業者の役職員等に対して適切な処分等を行うことができる。

(通報等をした者等の保護)

第十二条 町、町職員等及び委託先事業者の役職員等は、通報等をした者に対して、通報等をしたことを理由として、不利益な取扱いを行ってはならない。

2 町職員等及び委託先事業者の役職員等は、調査協力者に対して、対象事案に関する調査に協力したことを理由として、不利益な取扱いを行ってはならない。

3 町は、前二項に違反した者に対して適切な処分等を行うものとする。

4 第一項又は第二項に定める不利益な取扱いが行われた場合には、町は、当該不利益な取扱いを受けた者に対して適切な救済及び回復のための措置を講じなければならない。

(通報等をした者等の探索の禁止)

第十三条 町職員等及び委託先事業者の役職員等は、通報等をした者等の探索をしてはならない。

2 町は、前項に違反する行為が行われた場合には、当該違反者に対して適切な処分等を行うものとする。

(秘密保持)

第十四条 町職員等及び委託先事業者の役職員等は、この訓令に定める場合のほか、法令に基づく場合等の正当な理由がない限り、対象事案に関する情報を開示してはならず、当該情報について秘密を保持しなければならない。

2 町職員等及び委託先事業者の役職員等は、この訓令に定める場合のほか、法令に基づく場合等の正当な理由がない限り、対象事案に関する情報を目的外に使用してはならない。

3 町は、前二項に違反する行為が行われた場合には、当該違反者に対して適切な処分等を行うものとする。

(利益相反の排除)

第十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、対象事案の通報窓口担当者、調査担当者又は是正措置等の検討若しくは実行に関与する者となることができない。

 法令違反行為の発覚又は調査の結果により実質的に不利益を受ける者

 通報等をした者又は被通報者と親族関係にある者

 対象事案に関する公正な調査又は法令違反行為の是正措置等の検討若しくは実行を阻害しうる者

2 通報窓口担当者は、受け付けた通報等について、自らが前項各号のいずれかに該当する場合には、他の通報窓口担当者に対象事案を引き継がなければならない。

3 調査担当者又は是正措置等の検討若しくは実行に関与する者は、それぞれ業務に着手する時点で、第一項各号のいずれにも該当しないことを確認し、そのいずれかに該当する場合、通報対応責任者に報告しなければならない。

4 前項の報告を受けた通報対応責任者は、同項の報告をした者を対象事案に関与させてはならない。

5 町は、第一項各号のいずれかに該当することを報告することなく通報対応業務に関与した者に対して適切な処分等を行うものとする。

(通知等)

第十六条 通報窓口担当者は、通報等をした者の連絡先が分からない場合を除いて、当該者に対して、当該通報等を受け付けた旨を、当該通報等の日から二十日以内に通知しなければならない。

2 通報窓口担当者は、通報等をした者の連絡先が分からない場合を除いて、当該者に対して、対象事案に関する調査の結果及び是正措置等について、適正な業務の遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がない範囲において、速やかに通知しなければならない。

3 通報窓口担当者は、通報等をした者の連絡先が分からない場合を除いて、対象事案に関する是正措置完了までの間、必要に応じて、第十二条第一項により禁止される不利益な取扱いを受けていないか確認しなければならない。

4 調査担当者は、調査協力者に対して、対象事案に関する是正措置完了までの間、必要に応じて、第十二条第二項により禁止される不利益な取扱いを受けていないか確認しなければならない。

(職制上の上司への通報等)

第十七条 町職員等及び委託先事業者の役職員等は、職制上の上司に対して通報等をすることができる。

2 前項の通報等を受けた者は、事案の内容等に応じて調査又は是正に必要な措置を速やかに実施するなど、必要な措置を講じなければならない。

3 町、町職員等、委託先事業者及び委託先事業者の役職員等は、第一項の通報等を行った者に対して、通報等をしたことを理由として、不利益な取扱いを行ってはならない。

4 町職員等及び委託先事業者の役職員等は、第一項の通報等をした者を特定させる事項を範囲外共有してはならない。

5 町職員等及び委託先事業者の役職員等は、第一項の通報等をした者を特定しようとしてはならない。

6 町は、前三項に違反する行為が行われた場合には、当該違反者に対して適切な処分等を行うものとする。

(法に基づく通報を行った者の保護等)

第十八条 町、町職員等、委託先事業者及び委託先事業者の役職員等は、法第三条第二号及び第三号に定める保護要件を満たす公益通報をした者に対して、当該通報をしたことを理由として、不利益な取扱いを行ってはならない。

2 町職員等及び委託先事業者の役職員等は、前項に定める公益通報をした者を特定させる事項を範囲外共有してはならない。

3 町職員等及び委託先事業者の役職員等は、第一項に定める公益通報をした者を特定しようとしてはならない。

4 町は、前三項に違反する行為が行われた場合には、当該違反者に対して適切な処分等を行うものとする。

(不正の目的による通報等の禁止)

第十九条 町職員等及び委託先事業者の役職員等は、虚偽又は他人を誹謗中傷する目的の通報等その他の不正の目的の通報等をしてはならない。

2 町は、前項に違反している可能性が高いと認められる場合には、前項の違反の有無を調査した上で、当該違反者に対して適切な処分等を行うことができる。

(留意事項)

第二十条 通報等をした者は、通報等をした情報が拡散することにより自らが不利益な取扱いを受ける可能性があるため、当該情報の管理に留意しなければならない。

2 調査協力者は、調査に関する情報が拡散することにより自ら及び通報等をした者が不利益な取扱いを受ける可能性があるため、当該情報の管理に留意しなければならない。

(関与した者が自主的に内部通報した場合の処分等の減免)

第二十一条 町は、法令違反行為に関与した町職員等及び委託先事業者の役職員等が、自主的に内部通報した場合又は調査に協力した場合には、処分等を減免することができる。

(通報等に対する評価)

第二十二条 町は、重大な法令違反行為の発見及び是正に寄与した通報等をした者等に対して、積極的な評価を行うものとする。

(教育及び周知)

第二十三条 通報対応責任者は、個人情報等の保護に配慮した上で、通報窓口の運用実績について、町職員等及び委託先事業者の役職員等に対して周知するものとする。

2 通報対応責任者は、町長その他町管理職員を含む全ての町職員等及び委託先事業者の役職員等に対して、定期的に法及び町内部通報対応体制に関する教育及び周知を行うものとする。

3 通報対応責任者は、通報窓口担当者及び調査担当者並びにそれらの候補となる町職員等及び委託先事業者の役職員等に対して、この訓令の適切な運用を確保するため、通報等をした者を特定させる事項の取扱いについて特に十分な教育を行うものとする。

(体制の整備、運用及び改善)

第二十四条 通報対応責任者は、利用対象者の利便性を高めるため、利用対象者の意見を聴取した上で、この訓令に基づく体制の整備、運用及びその改善に努めるものとする。

2 通報対応責任者は、町長に対して、この訓令に基づく体制の整備及び運用状況について定期的に報告するものとする。

3 通報対応責任者は、この訓令に基づく体制の整備及び運用状況について、定期的に客観的かつ公正な方法による評価、点検等を行い、必要に応じて改善策を講じるものとする。

4 通報対応責任者は、通報窓口に寄せられた通報等に関する運用実績の概要を適正な業務の遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障のない範囲において公表するものとする。

(他の法令等との関係)

第二十五条 通報等への対応手続については、他の法令に特別の定めがある場合を除くほか、この訓令の定めるところによる。

この訓令は、令和四年六月一日から施行する。

猪苗代町職員等の内部通報等に関する要綱

令和4年5月24日 訓令第10号

(令和4年6月1日施行)

体系情報
第4編 事/第4章
沿革情報
令和4年5月24日 訓令第10号