○猪苗代町犯罪被害者等支援条例

令和七年三月二十五日

条例第一号

(目的)

第一条 この条例は、犯罪被害者等基本法(平成十六年法律第百六十一号)に基づき、犯罪被害者等支援に関し、基本理念を定め、町、町民及び事業者の責務を明らかにするとともに、犯罪被害者等支援の基本となる事項を定めることにより、犯罪被害者等支援を総合的に推進し、もって、犯罪被害者等が受けた被害の回復又は軽減及び犯罪被害者等の生活の再建を図ること並びに犯罪被害者等を地域社会で支え、誰もが安全で安心して暮らすことができる社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 犯罪等 犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為をいう。

 犯罪被害者等 犯罪等により被害を受けた猪苗代町に住所を有する者及びその家族又は遺族をいう。

 犯罪被害者等支援 犯罪被害者等が、その受けた被害を回復し、又は軽減し、安全で安心して暮らすことができるよう支援するための取組をいう。

 町民 町内に居住し、通勤し、又は通学する者及び町内で活動を行う者をいう。

 事業者 町内で事業活動を行う個人及び法人その他の団体をいう。

 再被害 犯罪被害者等が、当該犯罪等の加害者から再び被害を受けることをいう。

 二次被害 犯罪等による直接的な被害を受けた後に、周囲の者による理解又は配慮に欠けた言動、インターネット等を通じて行われる誹謗中傷、報道機関による過剰な取材等により、犯罪被害者等が受ける精神的な苦痛、身体の不調その他の被害をいう。

 関係機関 国、福島県その他の地方公共団体、警察及び犯罪被害者等支援を行う民間の団体その他の犯罪被害者等支援に関係するものをいう。

(基本理念)

第三条 犯罪被害者等支援は、次に掲げる事項を基本理念とし、犯罪被害者等の立場に立って適切に推進されなければならない。

 犯罪被害者等の個人としての尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利が尊重されること。

 犯罪被害者等が受けた被害の状況及び原因、犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情に応じて適切に行われるとともに、再被害及び二次被害が生じることのないよう十分に配慮されること。

 犯罪被害者等が安全で安心して暮らすことができるよう、必要な支援が途切れることなく提供されること。

 町及び関係機関による相互の連携及び協力の下で行われること。

(町の責務)

第四条 町は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、関係機関との適切な役割分担を踏まえ、犯罪被害者等支援に関する施策を総合的に実施するものとする。

2 町は、犯罪被害者等支援に関する施策を実施するに当たり、二次被害を生じさせることのないよう十分に配慮し、これを防止するものとする。

(町民及び事業者の責務)

第五条 町民及び事業者は、基本理念に基づき、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等支援の必要性について理解を深め、二次被害を生じさせることのないよう十分に配慮するとともに、町及び関係機関が実施する犯罪被害者等支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。

2 事業者は、犯罪被害者等がその被害に係る法的手続に適切に関与することができるよう、その就労、勤務、休暇等について、十分に配慮するよう努めるものとする。

(情報の提供等)

第六条 町は、犯罪被害者等が日常生活及び社会生活を円滑に営むことができるよう、犯罪被害者等が直面している問題について相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行うとともに、関係機関との連絡を行うものとする。

(経済的負担の軽減)

第七条 町は、犯罪被害者等が受けた被害による経済的負担を軽減するための支援を行うものとする。

(日常生活の支援)

第八条 町は、犯罪被害者等が平穏な日常生活を営むことができるようにするため、関係機関が実施する施策に協力するものとする。

(心身に受けた影響からの回復支援)

第九条 町は、犯罪被害者等が心理的外傷その他の犯罪等により心身に受けた影響から回復できるようにするため必要な相談に応じ、その心身の状況等に応じた適切な保健医療サービス及び福祉サービスが提供されるよう必要な助言を行うものとする。

(居住の安定)

第十条 町は、犯罪等により従前の住居に居住することが困難となった犯罪被害者等の居住の安定を図るため、必要な施策を講ずるものとする。

(町民及び事業者の理解の増進)

第十一条 町は、犯罪等の被害に対する町民及び事業者の関心を高め、犯罪被害者等が置かれている状況、犯罪被害者等支援の必要性、二次被害の防止の重要性等についての理解を深めるため、広報、啓発その他の必要な施策を講ずるものとする。

(学校における支援)

第十二条 町は、犯罪被害者等が児童、生徒等であるときは、その置かれている状況に応じて十分に配慮されるよう、学校と連携し、必要な支援を行うものとする。

(個人情報の適切な管理)

第十三条 町は、犯罪被害者等支援における個人情報の重要性を認識し、犯罪被害者等及びその関係者の個人情報を適切に管理しなければならない。犯罪被害者等支援に従事する者が個人情報を取り扱う場合も、同様とする。

(委任)

第十四条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。

この条例は、令和七年四月一日から施行する。

猪苗代町犯罪被害者等支援条例

令和7年3月25日 条例第1号

(令和7年4月1日施行)